趣味とキャラ

大学時代にいた仲間はそれぞれ色んな趣味を持っていて楽しい毎日だった。
1つ上の世代だが、留年をして同じ学年になったA君は、留年後は成績も優秀でいい大学院に進むほどの人間だが、競馬が趣味だった。
ギャンブルが趣味であることと成績がいいことは相反することではないが、はじめその事を知ったときはびっくりした。
彼はその頭の良さを活かし、競馬でも自分でデータ表をつくり、きちんと結果を分析することで儲けを出している。

一番仲の良かったB君はちょっと変わっている。
大抵変わっていると言われている人は、自分ではそんな風に思っていないので、私も「お前の方が変わっているよ」と言われた。
お互いに「変わってるなあ」と思っていたということだ。
彼は当たり障りのない言い方をする一方で行動がおかしい人間だ。
趣味を聞けば、ゲームや旅行といったものが答えとして返ってくるだろう。
ただ、自分のやりたいことはどうしてもやりたいという欲が凄まじいのだ。
理系の大学で、研究が忙しく、教授に話せば即止められるような時期であっても、海外に行くので休みをくださいと言えてしまう。
彼のそういう部分を私は羨ましくおもったが、少し真似したあたりでやめてしまった。
なぜなら簡単にできることではないからだ。
人にはそれぞれキャラがあって、そのキャラの通りに行動していれば「許される」ということがある。
彼にはそういう大胆な行動が許されるキャラがあった。
私が同じことをしても痛々しくなってしまうのだ。
彼もA君とは違った意味で頭が良く、海外に行ったあと受けた英語能力を測るテストでほぼ満点を出し、就きたい職業のために簿記の試験をすんなりと通過し、最大手の商社に入社していった。

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